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以前、故マザーテレサのドキュメンタリーフィルムを見る機会があった。
彼女は1910年、ユーゴスラビアに生まれシスターとして活躍した。
当時、世界最大の飢えと貧困の都市であったインドのカルカッタに単身乗り込み、多くの孤独死する人々を時には救い時には彼らに最期まで寄りそった。
マザーテレサが行くところは水すらない想像をはるかに絶する所もあった。
「一滴の水がなくても何とかなります」と強い信念を持ち援助活動を続けていった。
マザーテレサは「立ったまま召されたい」としばしば周りの人に云っていた。
ある時、中東での戦争(ベイルート、イラン)で宗教上の違いから50名の脳性麻痺の子供達が戦地に取り残された。
彼女は政府関係者にかけ合う「何とか戦地へ行かせて下さい。一刻を争います」それに対し「今、行ったら死にに行くようなものです。現に一週間前も宣教師が一人殺されたんです。許可は出せません」マザーテレサは神に祈った「一日だけでも休戦を下さい」ところが奇跡が起きる。
本当に一日間の休戦が現実のものとなった。
マザーテレサと彼女を支援する数十名のスタッフが現地に入り50名の脳性麻痺の子供達を全員無事に救出する。
子供達1人1人の頬に手を当て慈しむ彼女。
栄養失調でやせ細り衰弱しきった体。
自力では歩くことができない子供達をスタッフが抱きかかえながら次々と救出してゆく。
子供達の目から涙があふれ出た。
今、世界中でマザーテレサを支援する多くの人々がボランティア活動をしている。
自分を顧みない与えきった姿があるからこそ多くの支援者たちが集まるのであろう。
与えきった姿ほど強く尊いものはない。
河村 貴雄