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以前、トヨタ自動車株式会社の佐々木眞一副社長(現在は退任されている)とお会いする機会に恵まれた。
現在の厳しい世界経済の影響をトヨタも受けていることは周知の通りだが、副社長はそれでもトヨタの底力を私に語ってくれた。
私が副社長に質問した「今日のトヨタの隆盛は一言で云うと何ですか?」 即座に「カイゼンです。」と答えが返ってきた。
「トヨタのカイゼン」は、あまりにも有名な言葉ではあるが、改めて現役のエグゼクティブから聴けたのは大変意味深かった。
「荒削りでも思いつきでもいいから、とにかく速くやる。例えば、会議の時にカイゼンのポイントが指摘されると、会議が終わった瞬間から、その帰りの道すがら、カイゼンの方法を探すくらいのスピードが、トヨタにはある。」と。
速くやるというのがトヨタではひとつの基準になっているとのこと。
また、トヨタ内では、「カイゼンは巧遅(こうち)より拙速(せっそく)だぞ」と云われている。
巧遅とは、考え方はいいが時間がかかることをいう。
一方、拙速とは、出来栄えはいまひとつだが、とにかく速いことをいう。
トヨタでは間違いなく拙速が評価され、まずやってみることが、何より重要なのだと。
さらに佐々木副社長は、「カイゼンは実はとてもとても地味なことなんです。ただその積み重ねが今日のトヨタの体質(バランスシート)を作っているんです。」と仰った。
非常に説得力のあるお話であった。
所長
河村 貴雄